なにもかもアムロ顔の皇帝が悪いんや!


なにやら、ローズマリー・サトクリフの『第九軍団のワシ』が映画化されるよう(日本公開は未定)ですが、サトクリフ作品はこれを含めて3作しか呼んだことがありません。
まぁ『第九軍団〜』を読んだのがもうけっこう前なので、あとがきで二段落ちがついたのと、『惑星カレスの魔女』みたいな最後にやたら若い嫁をもらう話だった事くらいしか記憶に残ってませんが。
しかし、あれをそのままの展開で映画にしても序盤の「シーザー!シーザー!シーザー!」が一番の山場で、後の前半部分のひたすらgdgdとニート生活を続けるパートは見ててだれるんじゃないかという気が…

それで、3つのあとの二つはヴァイキングものの『剣の歌』とケルトものの『闇の女王にささげる唄』なのですが、『闇の女王〜』はローマの支配に対するイケニ族の女王ブーディカの反乱を扱ったもので、いわゆる3部作の内には数えられてませんが、時系列的に『第九軍団〜』と若干のつながりを持ってます。
まあ、どういう人だったのかの詳細は例によってWikipedeaに譲りっておくとして、ともかく作中で直接描写されるつながりは、第九軍団が壊滅したのはブーディカの呪いだとかいわれたり、ヒロインがイケニだとかそれくらいのもんですが。


闇の女王にささげる歌

闇の女王にささげる歌


作中では、例によって第9軍団がワシを取られれるという愉快なシーンなどをはさみつつ、怒涛の進撃と虐殺が描かれるわけですが、およそ勝ち目のない無謀な戦いに挑む決起時の演説のシーンだけでもオーランシーには必読の書です。あと、ケルト側のまとまりの無さとかも見所。多分。
しかし、怒涛の進撃とかいいつつ冷静に観察してみると、相手は予備役兵だとか、先行してきた騎兵隊だとか、そんなのばっかりな気もしますが。



で、やっと本題。
少し前、ウォーゲーム熱が高まったころに円高にものをいわせて、未訳ウォーゲームを買いあさっていた時期があったのですが、そのとき購入したものの中にブーディカの反乱を扱ったものがあります。



Avalanch PressのRome at Warというシリーズの第三弾にあたる、Queen of the Celtsがそれで、なぜかボックスアートが二種類あったりします。
いやまぁ、なぜかというか、片方がおっぱい画だからなんですが。
なんか、「イギリスにあるブーディカの銅像は、戦車がペルシア風の鎌がついたやつででヒストリカルな見地からしたらおかしいけど、この絵はちゃんとケルト風だぜ!」みたいな事を言っているような気がしますが、この絵にしてもヒストリカルも糞ないような剣を持っているような気がしますが、これ如何に?


ルールをちまちまと訳していたのですが、半分くらい済んだところで、同シリーズの第一弾、Hannibal at Bayの訳があることを発見(APゲームズのところじゃなくて三段目のAP/Rome at War: Hannibal at Bayから)。一応、Queen of〜はシステムの版があがって三版という事ですが、ざっとみても変更点がよくわかんない程度なので、恐らくそのままHannibalをつかっても問題ないんじゃないかなあと


ルールのうち一番多い部分は指揮範囲に関するもので、1つのシナリオごとにプレイヤーは2〜4くらいのフォーメーションを率いて戦います。フォーメーションを構成するユニットは指揮官の指揮下で行動し、指揮範囲から離れると基本なにも出来ないっぽいです。伝令が走ってるのか道路沿いだと指揮範囲が延びたりだとか。
戦闘処理は簡単で、戦闘力の数だけダイスをふり、6が出た数だけ相手ユニットにダメージ(ステップロス)を与えます。

なにその「CRT?犬にでも食わせちまいな!」みたいな漢前ルール。

どうやらウォーゲーム空間では俗に「6出ろルール」と呼ばれる判定方法らしく、意外とよくあるシステムっぽいのですが、個人的には何かウォーゲームといえばCRTを使ってこそのものという印象があったので、こういう判定方法ってファミリーゲームでやるようなものの気が

他にも指揮官が活性化できるユニット数がダイスでランダムに決まったり、騎兵突撃がモラルチェックに成功してる限り連続で行えるので、突撃>敵一歩後退>指揮判定>突撃...というずっと俺のターン現象が起きる気が。まあ、反撃はその都度されるので突撃側も損耗していくというか、突撃継続でも移動力の制限はちゃんと受けるのかな?
このへんはもうちょっと読み込んでみるしか
どちらかというとシミュレーション性よりもエンターテイメント性を優先したというか、なにかゲームゲームした処理を行うステムっぽいですね

ステップロスというのは、ウォーゲーム空間語でダメージの段階に応じて、戦闘力などの能力値が減少していくシステムで、まぁ、だいたいこういうのは裏表の二段階、たとえば日本機動部隊だともう少し細かく、裏表に更にマーカーを加えて4段階を表現していて、せいぜいそれくらいという印象があったのですが、このゲームの場合、表裏両面に加えて駒の交換でかなり細かいステップ数を表現してます。

下は、皆がそのヘタレっぷりを愛でる第九軍団



最後にはこんな事に!




しかし、このゲームブーディカはタイトルや箱絵になってる割にはシナリオ1本にしか登場せず、全体通してのメインはむしろカラタクスのような気が。活躍した時期がそもそも短くて比較にならないってのもありますが。
まあ、ジャンヌ・ダ’ルクみたいなもんでイメージ専攻というか、純粋な軍事的勝利の規模からみればもっと重要な人物は他にいるって事なんですかね。めっきり自国史上からも忘れ去られていたところに国威発揚で担ぎ出されたてのも似ている気が

英国内では有名な人らしいのですが、ローマ軍事史などの本で数行でてくる程度で、日本語でよめる資料はあんまり。たまたま、付録のソロ・ゲーム目当てで買っていたS&T265号に記事があります。

こちらもせいぜい1p分というところで、ハドリアヌスに関する記述の方がまだ長いかな。

左は、最後の戦いでの布陣。この戦闘が行われた戦場は未だに確定してないらしいが、この記事ではウェルラミウムとされている。ローマ方の指揮官はスエトニウス。
戦闘に関する記事は三段組の一段分くらいなのでとくに目新しい情報はなし、どうにもこの辺に関してはサトクリフの小説が最も詳細なようです。小説だけにどこまで作り事なのかは不明ですが、あとがきを見るかぎり結構仔細に資料にあたってるぽい。
まぁ、書かれた当時最新の情報という事で、また、『第九軍団〜』みたいなオチがつかないとも限りませんが



これはゲーム中でのマップ
地形はサトクリフの描写とも、前出の記事とも似ても似つかない。
森をもっと引き伸ばして、斜面は記号化されたものと見ればまだまぁ、似てると言えるのか?あー、心に棚をつくったら段々似ているような気がしてきた…かも?
まぁ、このゲーム、時期も場所も違う複数のシナリオでマップを使いまわしているので、その再現性に関してはお察しください。な感じなんですが
このゲームに限らずAvalanchって、一昔前の3Dモデル用テクスチャをはったようなぞんざいかつヌメヌメした質感や、やたらグラデーションを多用したユニットなど、どうにもアートワークに関してはいまいち趣味に合わない。


このブーディカが出てくるシナリオ7のタイトルはHell Hath no Fury...
よく使われる言い回しなのか、雑誌付録ですが同名の戦略級ゲームもあります。e-bayで落としたとこなので、いずれそのうち届く予定。こっちに関しては訳は転がってなさそう...

”母上のお腹をすかせた息子”、アグリコラもシナリオ9、Celtic Twilightで総指揮を執ってます。

クロノノーツにて在庫有